打倒ローマは一日にして成らず

大航海時代Onlineでカルタゴ復興に燃える元将軍の記録。

電王戦 第2局と1983年の角不成

むしろ読み抜けの方が問題か


電王戦ファイナル 第2局
Selene(コンピュータソフト) 対 永瀬拓矢六段 の一戦。

既にニュースにもなっているように、後手・永瀬六段の角成らずに対して先手ソフト側が王手を放置したまま銀を指したため「王手放置」の反則負け。王手放置は反則以前に次に玉を取られるため自動的に負けということですが、終局後の会見で永瀬六段は「Seleneが大駒の成らずを認識せずに投了で返すことがあるのは知っていた」とのこと。
発生直後から内外で結構騒がれていますが主な検討事項を挙げると以下のような点でしょうか。

・バグと知りつつ指すことの是非
・実際の形勢判断
・興行上の判断
・ルールの精査

いくつか考慮するポイントはありそうですが、今回は立会人の三浦先生他も含めて協議の結果、普通に反則負けで決着しました。
まあ、人間同士だったら問答無用で負けです。それからあの後の進行を検討した結果でも後手の勝勢が明らかだったので続行しても勝敗結果は変わらなかったと思いますし、ソフトの開発者本人もそれを受け入れていたのでこれで問題ないと思う一方で実際は他にも気になる点が。

・ソフト側の探索深度(十数手後の敗勢を読めていないケースが有る)

これはいくつかの将棋ソフトで検討してもそうなのですが、この局面に対して直前まで「先手優勢」と判断していたことでしょうか。
確かに永瀬六段が角成らずを指した局面の直前まで先手ソフト側が+数百点くらいで優勢と判断されており、あそこで仮に角成と指していた場合に-1000以上の後手勝勢または投了に相当する点数までソフトの形勢判断が振れていることの方が何か読み抜けなのか形勢判断そのものの問題なのか、むしろそちらの方が考慮すべき点のような気がしないでもない。

さてこの局で焦点となった「駒の不成」の話。
プログラムを作成する際に不要な(と思われる)局面探査を避けるために「飛車・角・歩」など成らない事にメリットのない(と思われる)動作を考慮しないと云う考え方、合理的に考えるならたしかにそうかもしれないなと思わせる一方で、純粋に勝ちを追求する局面でも飛車・角・歩の成らずを選択する事はあるんですよね。というか詰将棋だと普通に不成も考えないといけないのでプロでなくても読みます。
なので「不成りを考慮しないプログラム」はあくまでコンピュータ同士の対戦で合理性を追求した場合の考え方に過ぎないのかなと、より完成度を高めるならそこまで考慮したプログラムで作って探索範囲が広がるデメリットを含めた作成をめざすべきかなと、まあ人間よりの考慮をする側かもしれませんが今回の件については思っています。



実際、人間対人間の一戦でもその「大駒の不成」局面が発生したことが。
1983年の王位リーグ戦、「谷川浩司-大山康晴戦」
両者とも永世名人の資格保持者であり、王位タイトルの挑戦者を決めるリーグ戦での一局でもあって棋譜自体が結構有名な一戦ですが、この局の終盤で今は日本将棋連盟の会長である谷川先生が99手目に「4三角引成らず」の一手を指しています。


4三角不成
(99手目・4三角引き・成らずの局面)


この4三角の時に成って馬を作ってしまうと、5四歩→6六銀打→同と→同歩→5五玉→5六歩 が打歩詰めの反則になってしまいます。(下図で4三の角が馬だと4四にも効いていて玉が逃げられないため)


4三角成→5六歩(打歩詰め)  
(105手目・5六歩で大山先生が投了した局面)


以下は4四玉→4五歩打→3三玉→2三角成→同玉→3四角成→3二玉→2三金打→4一玉→5二金 までの11手詰め。


4三角不成→詰み図
(5二金までの詰み図)

実戦でこんな詰将棋みたいな手を指す当時の谷川先生恐るべしです。
(ちなみにこの1983年、谷川先生は21歳の史上最年少で名人タイトルを獲得しています)



ところで今回、永瀬六段の終局後の発言で
・「勝敗に直結することなので(不成問題を)修正されていることも考慮していた」
・「もし修正されていても相手に持ち時間を使わせる事になるので勝利する可能性を上げるために指した」
・「練習時の勝率は1割くらいだったけど実戦でその1割を引くことは出来ると思っていた」
という3点。

実際の形勢判断は別としてソフト側のバグを突いて勝利したことにプロとしての姿勢云々を恐らく言う方もいると思いますが、プロ棋士は勝敗がそのまま収入に直結するので基本的にルール違反以外はあらゆる可能性を考慮して勝利すべく対局に臨むのが当たり前と個人的には思うんですよね。どれほど綺麗事言っても負けたら弱いと判断される世界で子供の頃からしのぎ削っている者達の世界なのですから。
つか、昭和の頃だと升田・大山はじめ超大物棋士ほど容赦なく盤外戦術駆使しまくってるので、むしろ今回の永瀬六段の姿勢は勝負師としての評価上げる一戦と見ています。またソフトの開発側にとっても一局の勝ち負けよりもこうした問題が存在することを実戦で見られたことでより完成度の高いものを目指すデータを提供されたと思えばいいんじゃないのかなと見ていますがどうでしょう。


しかし今回の電王戦、次鋒までで人間側の2連勝という展開はさすがに予想できないよなあ・・・。
この先の展開で中堅戦はともかく、恐らく副将ponanza・大将AWAKEは今までとは格上の強さ。
いくら村山・阿久津先生でも劣勢避けられないと思うので次の稲葉-やねうら王の一戦が事実上の天王山になるのでしょうか。
持将棋狙いで引き分けに持ち込むのも勝負にこだわるなら充分アリと思いますが果たして来週の結果は・・・。



おしまい。





  1. 2015/03/22(日) 09:17:32|
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