打倒ローマは一日にして成らず

大航海時代Onlineでカルタゴ復興に燃える元将軍の記録。

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賢王シャルル5世 その3

名将の登場


今回はシャルル5世に見出された、ある一傭兵隊長のお話です。
賢王シャルル5世に大きな弱点があるとすれば、それは軍事面でしょう。如何にフランス国内を内政・法整備をしても、肝心のイングランドに勝てなければ泥沼のまま時間が掛かるだけですから。そしてシャルル5世の配下には、正面から相手の総大将エドワード黒太子に対抗できる将帥が見当たりませんでした。ところがこんな状況を打破する、後にフランス史上屈指の名将・軍神と称えられるある男が彼の目に留まります。


ベルトラン・デュ・ゲクラン (1320-1380年)


智謀の傭兵隊長)
ブルターニュの小領主の息子として生まれたデュ・ゲクランは、若いときから馬上槍試合の名手として知られる存在でした。普通なら旗持ちでなくとも騎士として地元領主の配下となるのでしょうが、彼はなぜか長じて傭兵隊長となっていました。そして馬術・統率力・智謀に優れた彼は戦乱の時代にふさわしく各地で活躍を始めます。後にゲリラ戦・局地戦・奇襲の名手としてイングランド軍をじわじわと追い詰める手腕はこの頃磨かれていったのでしょうか。

(忠誠)
ゲクランの生まれ故郷ブルターニュは当時混乱の極みにありました。この地ではブルターニュ侯の継承問題を巡ってイングランド王がモンフォール伯を、フランス王がブロワ伯を支援といった代理戦争状態で、デュ・ゲクランはブロワ伯シャルル側の町ポントルソンの傭兵隊長を務めていました。この長期戦でデュ・ゲクランは攻城戦・野戦共に主力となる部隊を率いて敵味方に知られるだけの才能を発揮し始め、フランスがイングランドの陣容『モード・アングレ』を初めて破ったコシュレルの戦いでも中核的な役割を果たします。ところが同1364年にオーレの戦いでブロワ伯は戦死し、デュ・ゲクランも捕虜となってしまいます。それ以前、1355年にはフランス王シャルル5世の知己を得ていたデュ・ゲクランはシャルルに身代金を払ってもらい、フランス軍の部隊長に戻って大きく働く事になります。一介の傭兵隊長に国王が身代金を払うのは異例ですから、シャルル5世の見る目の確かさと共に、デュ・ゲクランの勇名はこの頃既にフランスに欠かせないものとなっていたのでしょう。
泣く泣く主君を変えることになってしまったデュ・ゲクランですが、亡くなった旧主ブロワ伯に対する恩情は消える事が無く、後に教皇庁に必死の嘆願を続けて生前非常に信心深かった主君を聖人に列してもらったと言います。

(カスティーリャ遠征)
1360年以降、一時的な和平に落ち着くと、フランス国内は失業した各国の傭兵によって治安が非常に悪化します。その行いはほとんど野盗と同じですから始末が悪く、フランスの農業生産はこの時期大きく低下したと思われます。この事態を打開する為にシャルル5世はデュ・ゲクランに傭兵たちを率いさせ、教皇庁より依頼のあったスペイン遠征に向かいます。途中エドワード黒太子との戦いに敗れて捕虜となりますが、最終的に支援したエンリケ・デ・トラスタマラは相手のペドロ1世を破ってカスティーリャ王に就くことに成功しました。フランス国内の治安回復・教皇へのコネクション・スペインとの関係改善など、この遠征はフランスにとって一石数鳥の効果がありました。

(フランスの逆襲)
帰国したデュ・ゲクランを待っていたシャルル5世は、準備を整えるやイングランドに対して反撃に出ます。と言っても正面切っての決戦には続けて敗れているフランスですから、その戦いぶりは散発的というか地味な局地戦・ゲリラ戦の積み重ねでした。もともとゲクランはこの手の戦術を非常に得意とする傭兵隊長出身の智将ですから、現場としても性にあっていたのでしょう。また、着実に、じわじわと戦線を進めてゆく詰め将棋のような戦いぶりは、後方で支援を続けたシャルル5世の戦略にも合致していたのでしょう。更に税制の改正で定期的な財源が見込めるようになった為、シャルルは少数ながら装備と質の高い常備軍を創設します。この少数精鋭の部隊がゲリラ戦にも合致していたのは言うまでもありません。優秀な現場指揮官と聡明な主君による支援と兵站、まったくフランス史上でも稀な高環境が整っていました。こうして数年の間にイングランドの占領地はみるみる削られてゆき、1370年頃にはイングランドはボルドー・ナント・ブレスト・カレーなど沿岸部にある主要拠点の周辺を残して完全に追いやられ、撤退寸前と言う状況にまでなっていました。元々、地力というか人口ベースではフランス遥かに上回ってはいるのですが、ここまでイングランドに対して強いフランスってのは中々見られるものではなかったでしょう。(イングランド側の総大将エドワード黒太子の発病による戦力・士気低下も大きいとは思いますが)

シャルル5世002e
 (シャルル5世からフランス元帥の剣を授けられるデュ・ゲクラン)

(双頭の鷲)
鷲の紋章はローマのインペラトール(最高司令官)の軍団が掲げた旗です。シャルル5世は当時の神聖ローマ皇帝カール4世の甥にあたり、シャルルはその名と共に特別に鷲紋章の使用を許されていました。(シャルルはカールのフランス語読み)1370年、対イングランド戦役に多大な功績を上げつつあったデュ・ゲクランはフランス元帥に任じられます。本来王家の者かそれに連なる大貴族が任じられてきたこの職に、一小領主の息子が抜擢されたのですから、この時代とすれば実に画期的な出来事でした。一方でこの頃から既にデュ・ゲクランはフランス国民に圧倒的な人気と支持を受けた存在になっていたようです。国を救い、治安を回復させたのが誰か、民衆は肌でそれを実感していたのでしょうね^^
こうしてベルトラン・デュ・ゲクランは双頭の鷲とフランス王家の百合紋章を掲げた文字通りフランスの守護神と見なされてゆく事になります。
実際、1380年に亡くなったデュ・ゲクランが葬られた墓所は、なんとフランス王家代々の者のみが眠るサン・ドニ教会の墓所でした。そして彼の棺はわずか2ヵ月後に亡くなったシャルル5世の遺言により彼のすぐ傍らに今も置かれていると言います・・・。


後世、フランスの軍神といえば日本ではナポレオンでしょうが、現地ではデュ・ゲクランの名はそれに劣らず、国家の窮地を救った名将として今も高い人気を誇っているといいます。私もいつかフランスを訪れる事があれば、パリ郊外のサン・ドニ教会にあるシャルル5世と彼の墓所をぜひ訪れたいなぁと思っています。



おしまい。

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  1. 2006/09/23(土) 13:56:02|
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  4. | コメント:3
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コメント

こんばんは。

今日佐藤賢一さんの「双頭の鷲」を読み返したところです。この本ではデュ・ゲクランは子供っぽい無邪気な人間として描かれていますが、実際はどうだったんでしょうね?フランス語の文献が読めたらな~と思います。
  1. 2007/12/11(火) 23:28:57 |
  2. URL |
  3. アルディ #-
  4. [ 編集]

アルディさん>>
双頭の鷲に出てくるベルトランはほとんど奇人扱いですよね、あの表面的な部分は佐藤さんの設定な気がします。ただ、向こうの史料が読めないのは私も同じですが、当時としては相当に型破りな人物だったらしいのは間違いなさそうで、変人シャルル5世とウマが合ったのもそこら辺なんでしょうか。
  1. 2007/12/14(金) 08:43:07 |
  2. URL |
  3. ハミルカル #-
  4. [ 編集]

はじめまして

偶然このサイトを見つけて、読ませていただきました。歴史上の人物の中でも自分が相当に入れあげている(?)シャルル5世がテーマ、とても嬉しかったです。
画期的で天才的な名君だと思っているのに、なぜか扱われ方がどこでも小さい・・・と不満に思っていたのですが、ハミルカルさん、シャルル5世の長所を一杯書いてくださってありがとうございます。思わずうなずきながら読みました!
シャルル5世崩御の後、彼のブリリアントな手腕が引き継がれていかなかったのが残念です。せめて息子たちが成長するまで、もっと長生きしてほしかったなぁ。
  1. 2012/12/01(土) 04:41:59 |
  2. URL |
  3. carcas #8w1/TwmE
  4. [ 編集]

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