打倒ローマは一日にして成らず

大航海時代Onlineでカルタゴ復興に燃える元将軍の記録。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

賢王シャルル5世 その4

税金の父 本領発揮す

ひょっとすると今回の記事がこのシリーズで最も基幹となる話なのかも知れません。
百年戦争の前半の1370年代、フランスがイングランドの大陸での勢力をほぼ追い出すのに成功した背景として忘れてならないのは、何も軍事面の人材だけではありませんでした。今回は、デュ・ゲクラン将軍の戦略を後方から支えた『お金』にまつわるお話です。この面に画期的な業績を残した主君の支援があったからこそ、名将もその軍才を存分に振るえることが出来たのだと思います。


(年貢と副収入)
従来の封建領主にとっては、直轄領から上がってくる農地経営などからの年貢収入が主体でしょう。あとはせいぜい下級領主からの貢納、裁判による手数料、官職や聖職叙任の口利きによる手数料と言うか礼金(売官行為ですが)、関所や市場の利用手数料なども場所によってはと言ったところ。

※ここまではどこの国でも見られる、一般的な封建君主の財政のうち歳入にあたる部分です。ただこれは王でも小領主でも、極端に言えば規模の差でしかありません。これでは、王家の直轄領が他の諸侯に対してよほど広大でなければ圧倒的な力の差は生まれないでしょう。  (封建制とはそういうものでしょうが)
この場合の軍事力は、日本で言うところの『御恩と奉公』つまり領地を安堵してもらう代わりに有事に兵力を提供する事に大きく依存する形でした。実際、この時代の動員兵力と、後世例えばナポレオン戦争時代の兵力では10倍からの開きがあります。人口ベースではせいぜい2~3倍なのにも関わらず、です。
ところがシャルル5世が成し遂げた、全く違う体系の収入は、これを大きく転換させて行きます。
後世の人がそれを中央集権の先鞭と見たのも、実質的にシャルルの代でほぼ道筋がついたからだと思います。

(定期的な臨時収入?)
1356年に父ジャン2世がポワティエの戦いで捕虜となった時、王太子で摂政となったシャルルはその身代金・賠償の財源確保の為として1358年に全国3部会を開きます。3部会とは、聖職者・貴族・市民の3身分で構成された、全体会議というか国民側の王への支持母体と思えば良いでしょうか。これは常時設立された組織ではなく、一般的には国王の臨時の費用(例えば十字軍の参戦費や天災への支出・教会の再建など)をまかなう為の審議の場などでした。但し、いつでも自由に資金を引き出せるわけでなく、上記のような正当でかつ必要と認められる案件に対しての臨時措置としての収入でした。
これを、当初パリで開いた王太子シャルルに対してパリ市民、特に商工組合員が支払いに対して強硬に反対し、武力行使に至ります。いわゆるエティエンヌ・マルセルの乱と呼ばれる民衆反乱の勃発でした。これに驚いたシャルルはパリを脱してコンピエーニュで臨時にもう一つの三部会を召集します。この地では王家の支持が厚く、また大都市パリの専横に対する反感もあったでしょう。熱弁を振るったシャルルに対して、3部会の返事はYESでした。後にパリの反乱は、マルセルの暗殺を持って鎮圧され、シャルルは無事にパリに帰還しました。
ところが、本来一時的な支出に対する徴収へのYESのはずが、シャルルはこの決定をいつでも引き出せる『定期的な臨時聴取へのYES』へと認めさせてしまいます。定期的な臨時収入というのはヘンな表現ではありますが、その徴収項目はとても一時的とは思えない腰の入った物に整備されて行きます。

(税制の整備)
シャルルは本来臨時的なはずの徴収項目を、その政治手腕で恒常的な租税収入に育ててしまいました。
代表的なのがコレ。

①タイユ (人頭税)
②エード (消費税/20分の1税など)
③ガベル  (塩税)

しっかし、これだけカバーしてりゃもういいだろw 
しかも念入りに、この税を全国からきっちり徴収・管理する役人・出先機関を、ほぼシャルルの治世1代で整備してしまいます。こういう事に才能ある人っているんですねえw シャルルの元には、これを法律面でも宗教面でもサポートする人材が参集していた好例でもあると思います。そして、これらの税の導入は、結果として王家に桁違いの資金力を与える事になり、その資本を背景に他の諸侯とは一線を画した実力を有するようになっていきます。特にタイユとガベルは後の絶対王政の象徴的存在として怨嗟の対象になってくるのではありますが・・・


(常備軍の創設)
定期的に収入が見込めるようになったシャルルには、賠償金や身代金へ使うよりももっと積極的な使途がありました。それが、王家直属の常備軍の創設と整備です。当時、フランスへ攻め込んだイングランド軍の主力は、騎士団の他に農民層から構成した歩兵と長弓兵部隊がありました。
特に長弓兵は選抜されて常備していた為に速射率・命中率共に高く、フランスの旧式な弓兵と重い甲冑の中世騎士では対抗できませんでした。ここでシャルルは最も信頼の置ける将軍デュ・ゲクランにこの新編成の部隊を預けます。ゲクランは部隊を率いて各地を転戦して回り、わずか数千の部隊ではありましたがゲリラ戦・包囲戦では圧倒的な強さを誇る精鋭に育って行きます。わずか数千人とはいってもプロの職業軍人ですから、農閑期に徴収された鍬を槍に持ち替えただけの農民兵とは質が違う事は明白です。また傭兵と違って忠誠心や規律にも優れていますから、ちょっとの事では負けにくい部隊だったと思われます。

こうした経済面の充実を背景に、着実に国土を建て直してゆくフランスとは対照的に、アキテーヌのイングランド軍は次第に劣勢となります。その中には奇しくも戦費調達のために税制を導入しようとして反感を買うと言った面もあり、運用者の実力がはっきり差が出たと言えるかもしれません。


シャルル5世の死後、フランスは内紛とイングランドの介入により再び混迷の時代を迎えてしまいます。しかしシャルルが1374年に発した大勅令で残した行財政改革と軍制改革の機構と原理は受け継がれ、後のフランスの基本設計図もしくはグランドデザインとなります。そして百年余り後の名君の登場により、ヨーロッパでいち早い中央集権国家・更に絶対王政への礎となったと言えるのではないでしょうか。


どうもこのシリーズ、一回が長すぎたかも・・・ 
読んでくれている方々スミマセン。




おしまい。

FC2ランキング02 ←参加中につき応援クリック募集中!
  1. 2006/09/25(月) 17:17:43|
  2. 大航海な人物伝
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<パティシエ生活へ! | ホーム | 目まぐるしい週末>>

コメント

現代だと、たくさんの税項目がありますよね。
日本だと、消費税を筆頭に・・・そりゃもうゴチャゴチャと(´;ω;`)
  1. 2006/09/26(火) 20:55:59 |
  2. URL |
  3. uni #3un.pJ2M
  4. [ 編集]

uniさん>>
税金は個人ベースで出来ない事を組織でいろいろやる為の資金調達の手段→公共サービスとして富を再分配ってのが基本だから、ある程度複雑になるのはまあしょうがないかなと。
ただ、それを公平に集め・公平に無駄なく使ってくれているかは、払う方がホントはもっと監視すべきなんだろうなあ。
シャルルの徴税3本柱を現代に置き換えれば、タイユ=住民税、エード=消費税、ガベル=たばこ&酒&ガソリン税あたりでしょうか。現代でも中心的なものが網羅されているわけで結構完成度高いかもですね。
  1. 2006/09/27(水) 19:01:21 |
  2. URL |
  3. ハミルカル #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://hamilcar.blog64.fc2.com/tb.php/153-37cf3714
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

このブログはリンクフリーです。

ハミルカル・バルカ/メルカルト

Author:ハミルカル・バルカ/メルカルト
サーバー:Eos
所属  :イスパ
商会  :たまごのしろ/世界の船窓から
Twitter :hamilcar_notos

FC2カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
オンラインゲーム
257位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
大航海時代オンライン
9位
アクセスランキングを見る>>

最近の記事

カテゴリー

最近のコメント

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

最近のトラックバック

ブログ内検索

RSSフィード

RSSリンクの表示

著作権について

大航海時代 Online』に関わる著作権、その他一切の知的財産権は、 株式会社コーエーテクモゲームスに帰属します。 このホームページに掲載している『大航海時代 Online』の画像は、 『大航海時代 Online』公式サイトにおいて使用許諾が明示されているもの、もしくは『大航海時代 Online』の有効なアカウントを所有しているユーザーが株式会社コーエーテクモゲームスから使用許諾を受けたものです。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。