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メルカトル先生の競合者

地図に関する本が届きました。

近代地図の誕生
『近代地図帳の誕生―アブラハム・オルテリウスと「世界の舞台」の歴史』
(著者)C.クーマン著
(翻訳)長谷川孝治・船越昭生
(出版社)臨川書店 1997年刊

もう10年前に出ている本です。小冊子なので2400円台はちと高いかもなあと思うものの、中身は希少なので仕方ないかもです。学術系の本なんて価格と量の差もっと激しいですけどね^^

まず、アブラハム・オルテリウス(1527-1598)は、航海者にとってはDOLに出てこないのが不思議なくらいの著名人です。そういや私もこの人の複製地図持ってますね。
恐らく生まれが少し遅めなのと、メルカトル先生(1512-1594)がいるから差別化が難しいのでしょうが、航海者にとっては生命線とも言うべき地図の製作・編集者としては間違いなく当代屈指の存在でした。業績が認められて後に地理学者に列せられるのも当然と言うべきで、この人の存在が無ければ16世紀末~17世紀世界の探求はもっと遅くなっていたかも知れず、大航海時代の後半以降を側面から支えた巨人の一人と見て良いと思います。

この本、彼の製作した地図帳 『世界の舞台』 の解説を主体に、背景・生涯・周辺情勢・競合者も記述した社会史的な内容となっていて、大航海時代の側面描写が多いのでDOLプレイヤーとしては参考になる部分も多々あります。どうしても解説本ですからページと原作の対比表みたいな部分やリストのみにページ数を費やしている部分があるのですが、そこを差し引いても意外に読ませるものがありますね。

さて、もともとは地図印刷の装飾職人として身を立てていたオルテリウスですが、ある時メルカトルと二人一緒にフランスへ旅行に出た事を契機として、程なく自ら地図製作の事業に取り組む事になります。二人がどうやって出会ったかはよく判りませんが、片や地理情報をまとめて地図を作る学者・製作者と、片や出来上がった版を元に印刷・装飾をする職人ですから接点は多そうで、そこら辺のやり取りから知り合ったのかもしれませんね。

この時代の地理学においては先駆者であり、作図技法でも知られるメルカトルに対して、オルテリウスは上記の『世界の舞台』を始めとして実際にいくつもの詳細地図の発行を行い、近代的な地図製作・編集者としては創始者と見られています。
これは、メルカトル作の地図 『アトラス』 が、刊行数は少ないものの地図そのものの代名詞的な存在となって行ったのに対して、オルテリウスの『世界の舞台』は、世界各地の地図をいち早く入手することで最新の地理情報を元にまとめて発行するという、ほぼ事業というべき製作物で、更に連年改定していく事で精度を高めていき、しかも全体図・地域詳細図という現在でも採用されている地図帳の形式を採ったことで、最新の実務資料として非常に高い評価を獲得していったのは対照的といえるのではないでしょうか。

ところで、彼が 『世界の舞台』を進呈した者の中には、メルカトルほか資料を提供した協力者・パトロンたちなどの周辺人物のほかに大物もいました。
スペイン王フェリペ2世。
ここで事前に側近のエスピノーサ枢機卿が目を通すのですが、枢機卿は地図を見るや自分の故郷が載っていない事を残念に思ったらしく、怒りのメモが直ちにオルテリウスの元に送られ、オルテリウスはスペインの詳細図を追加した改訂版を直ちに作り、装丁も豪華にしたものを再度送ったといいます。芸術作品でもこの時代は権力者の意向が大きく影響したのですから、相手が王権ともなればオルテリウスが過敏な対応をしたのも分かる気がしますね。

オルテリウスの日本図
特に地域図としてはこれを。1595年版では日本地図の実装を行っており、日本人が古い地図として資料などで見るあの形の地図の多くは、実はオルテリウスの製作物(日本図の作図者はティセラという人)が元だったりします。1570年の版ではいい加減な記述だったのが、20数年でここまで正確になってきてるのはちょっと感心します。

この本、基本的には解説中心の翻訳本なんで、あんまりビジュアル的にどーのってのには乏しいのですが、地図好きの資料用としては一応押えておくべき本かと思いました。
(この手のものに興味ない人には全く食指動かないでしょうけどねw)
まー、一般向けじゃないのであえてお勧め度を☆付けるなら☆☆が精一杯かなあ。。

最後に、メルカトルがオルテリウスに送った手紙の一節を。
『それぞれの作成者の地図を忠実に再現されたことに対し、敬意を表したいと思います。そうしたことは地理学的な真実を発表するために不可欠な点ですが、地図作成者によって無視されてきているのです。 (中略) 各地域の最良の地図を選択した点、小額で買えるよう、また小さなスペースに収納でき、望む所へ持って行ける様に一冊の便覧にまとめた点で、あなたは大いなる賞賛を受けるのが当然です』
メルカトルにここまで言わせるのですから、彼を一介の編集者と考えては誤りでしょうねえ。

おしまい。

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『近代地図帳の誕生:アブラハム・オルテリウスと「世界の舞台」の歴史』

息切れしそうな勢いだね。ちょっとペース落としたほうがいいんじゃない? メルカトール先生を師と仰ぐ地図職人RPな自分としては、これは...
  1. 2010/06/08(火) 22:44:44 |
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