打倒ローマは一日にして成らず

大航海時代Onlineでカルタゴ復興に燃える元将軍の記録。

蒼き狼の末裔たち その12

モンゴルへ行ったヴェネツィア商人

プラノ・カルピニがモンゴルからリヨンに戻ってからわずか6年後の1253年のこと。
ニコロとマッフェオというあるヴェネツィア商人の兄弟が一攫千金の夢を見て海路コンスタンティノープルへと旅立ちます。この時ニコロの妻は既に子供を宿していたのですが・・・。

コンスタンティノープルで6年ほど商売を行ってある程度成功した兄弟は、そろそろ東のモンゴル商人とも交易を行いたいと思ったのか、ここで黒海を東に向かいキプチャク・ハン国に入国します。この頃既にキプチャク・ハン国はバトゥから弟ベルケの時代になっており、ベルケに謁見した兄弟はここで奮発して自分たちが持っていた一番上質な宝石を贈り、これに機嫌を良くしたベルケはその2倍の価格の品物を与えたと言います。
交易の大成功を受けて兄弟はそろそろ故郷に帰ろうと思ったらしいのですが、
この時キプチャク・ハン国と南のイル・ハン国が戦争状態になるという大事件が起こり、
西に向かうことが困難になった兄弟は『それなら』と更に東へと足を伸ばします。
その後、中央アジアの中心都市ブハラに到着した兄弟はここでも戦争のため足止めを受け、
3年後にたまたまブハラを訪れたモンゴル本国の外交官がこの兄弟の事を知って誘いを受けたことをきっかけに遂にモンゴルの都へ行くことになったのでした。

帝国の各ハン国をまわる長旅の後にモンゴルに到達した兄弟は、その商才と珍しさもあってか当時の大ハーン・フビライに気に入られ、ヨーロッパの文化・宗教の事など様々な話を聞かれるほどだったと言います。その後、兄弟の帰りを惜しんだフビライは帰りがけに莫大な贈り物と教皇への親書を渡し、こう伝えます。
『この手紙を教皇に渡し、学者100人を連れ、エルサレムの香油を貰ってまた帰って来い』と。


(帰国と再訪)
1268年ころ、15年もの長旅の末にようやく兄弟は故郷ヴェネツィアに戻ってきます。
ヴェネツィアを出立した当時にニコロの妻のお腹にいた子は、十数年を経ていつの間にか少年に成長し、利発そうな目と父にも負けない冒険心を持って父と叔父の帰国を迎えたのでした。

さて、鋭い方はもうお気づきかも知れませんね? 
その少年こそが、後に東方見聞録を口述する事になる、あのマルコ・ポーロだったのです。

帰国したニコロとマッフェオのポーロ兄弟は各方面への報告の後にフビライとの約束を果たすべく再出立の準備に掛かります。残念ながら次の教皇が決まらないと言う事態もあって学者を派遣する許可は出なかったのですが、せめてイェルサレムの香油だけは手に入れようと思い直し、
その後ポーロ兄弟と17歳になっていた青年マルコも父と叔父に従ってモンゴルへと旅立ちます。
ヴェネツィア→イェルサレム→バスラ→ホルムズから内陸へと入り、サマルカンドからカシュガル地方を経由するという3年半もの長旅の末、1274~75年頃になって再びポーロ兄弟はモンゴルの都、上都に戻ります。
ポーロ兄弟が約束どおり再訪してきた事を知った大ハーン・フビライが大喜びしたのは言うまでもありません。そして彼らが連れて来た利発そうな青年マルコに目を留め、ニコロの息子と知ると大いに満足して直ちに近臣の1人に取り立てたといいます。
その後、成長した青年マルコは大ハーンの使者や地方官などを歴任し、高級官吏として各地に赴くという貴重な体験をすることになり、この時代に現地や宮廷で伝え聞いた情報が後の東方見聞録(正確には『世界の記述』)の口述に繋がったのは言うまでもありませんね。


(マルコ・ポーロの大航海)
月日は流れ、ポーロ一家がモンゴルに来て17年後、
さすがにそろそろ帰らないとと思いニコロはフビライに帰国の許可を願い出るのですが・・。
ところがあまりに気に入られた結果、
『お前たちが望むだけの富と栄誉を与えるし、モンゴル国内中、どこへ行ってもいい。  
 ただし国外へ出ることだけは許さんぞ』 とフビライは非常に驚いてそう答えます。 
皮肉にも兄弟は故郷に帰ることが出来なくなっていたのですね。

ところがその後、チャンスは意外に早く訪れます。
イル・ハン国で新しいハーンが即位し、モンゴルの宮廷のもとには本家の姫を妃に迎えたいとの要請が入ります。当時の情勢ではイランにあるイル・ハン国へ姫を安全・快適に無事送るには海路を行く必要があると見られ、フビライは随行員の選定に頭を悩ませることになったのでした。一方、これを機会と見たポーロ兄弟はフビライに、『自分たちは旅慣れており、しかも船にも精通したヴェネツィア商人であるから随行員に加えてくれ』とアピールします。
お気に入りのポーロ家の者を手放したくないフビライは渋るのですが、実際困っていた事もあってかポーロ一家はなんとかフビライを口説き落とすことに成功します。

こうしてイル・ハン国への随行員となったポーロ一家は海路ペルシャ湾へと向かいます。
しかもこの時の船は4本マスト・2~300人乗り・60室・しかも浸水に備えて10数区画もの船倉構造からなるヴェネツィアでも見たことのない超大型船が10数隻という大型船団だったと伝わっています。この記述により、当時のモンゴルというか中国ではヨーロッパの海洋国家にも負けない造船技術と航海技術があったらしい事が分かるのですが、それにしても大航海時代の200年以上前にしては凄すぎ・・。まあ、この話が本当なら、その後元から明の時代になって行われた鄭和の大航海も、そう突飛な話ではないと言うことにはなりそうですね
さて、このイル・ハン国への大船団、中国を出てマラッカ海峡回りでインド洋を横断し、ホルムズからタブリーズへとイル・ハン国に無事到着します。その後ポーロ一家は随行員一行から理由を付けて抜け出し、予定通り黒海からコンスタンティノープルを経て25年ぶりに帰国する事ができたのでした。


(その後のこと)
対ジェノヴァとの戦争でマルコ・ポーロは捕らえられ、獄中でマルコ・ポーロが口述したのをルスティケロが東方見聞録(世界の記述)として本にまとめて発表します。
当時のヨーロッパの常識からすれば到底受け入れられないほど奇想天外だった東方見聞録の記述はマルコ・ポーロを嘘つきもしくは変人扱いさせる事になってしまうのではありますが、実際旅行者・航海者にはよく読まれることとなり、中国や黄金の国ジパングの噂が大航海時代への扉を開く一つの原動力となったのは言うまでもありません。
更に言えば、モンゴルというこれまで聞いたことも無いような外圧が突如としてヨーロッパに押し寄せ、その反動というかリアクションの一つが真っ先に世界へ飛び出していったこうした民間の商人達であり、そこから時間を掛けてヨーロッパはゆっくりと閉鎖された扉から外へ出て行く事になったのかも知れませんね。


(あとがき)
本来もう一回は書きたいところなのではありますが、既に12回と打倒ブログでも最長のシリーズとなって来てしまったので、モンゴルについては一旦ここで筆を置きます。
恐らく彼らについては今度は別の角度から書くことにはなりそうなのですけどね^^
長いこと見ていた方々、ありがとうございました、なにかお気づきの点がありましたらまだ調べたい部分でもありますので良ければお知らせ下さい。

※追記
 『蒼き狼の末裔たち』で一個カテゴリー作りました

おしまい。

FC2ランキング02
 ありがとうございました(ペコリ
  1. 2007/08/09(木) 08:55:05|
  2. 蒼き狼の末裔たち
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<収蔵品?それとも不良在庫? | ホーム | 蒼き狼の末裔たち その11>>

コメント

モンゴル編、面白かったです(´∀`*)
超大作、お疲れさまでした~。

現代の世界史でも、モンゴルあたりのことは
チンギス・ハーンいましたー
フビライ・ハーンいましたー
ヨーロッパに遠征しましたー
のレベルで語句だけ説明して終わりだから、
正直モンゴルのことはほとんど知らなかったけど
当時の人からしたら、まったく未知の生物w
って感じだったでしょうねえ・・・。


マルコ・ポーロはお父さんからして
すごかったんですね@0@
  1. 2007/08/10(金) 13:27:55 |
  2. URL |
  3. シンクレア #sj93pB3o
  4. [ 編集]

シンクレアさん>>
コメントとあんまり関係ないかもですが、
現代の日本人を→『ヨーロッパ文化の影響も受けたモンゴロイド』
という図式で考えると、世界的に見てももうちょっと独自の視点で捉えられる存在なんじゃないのかともふと思ってみたりしてます。
実際モンゴル研究では世界的な人も居ていろんな本も出しているのですが、感性で言うと更にもっと若い人で誰か出てこないかなぁと密かに期待してます^^
  1. 2007/08/10(金) 16:07:34 |
  2. URL |
  3. ハミルカル #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://hamilcar.blog64.fc2.com/tb.php/408-734ae633
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

このブログはリンクフリーです。

ハミルカル・バルカ/メルカルト

Author:ハミルカル・バルカ/メルカルト
サーバー:Eos
所属  :イスパ
商会  :たまごのしろ/世界の船窓から
Twitter :hamilcar_notos

FC2カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
オンラインゲーム
342位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
大航海時代オンライン
9位
アクセスランキングを見る>>

最近の記事

カテゴリー

最近のコメント

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

最近のトラックバック

ブログ内検索

RSSフィード

RSSリンクの表示

著作権について

大航海時代 Online』に関わる著作権、その他一切の知的財産権は、 株式会社コーエーテクモゲームスに帰属します。 このホームページに掲載している『大航海時代 Online』の画像は、 『大航海時代 Online』公式サイトにおいて使用許諾が明示されているもの、もしくは『大航海時代 Online』の有効なアカウントを所有しているユーザーが株式会社コーエーテクモゲームスから使用許諾を受けたものです。