打倒ローマは一日にして成らず

大航海時代Onlineでカルタゴ復興に燃える元将軍の記録。

草原の興亡 その17


(李広と李陵 その3)

李広利の援軍として派遣された李陵がその途中で匈奴の大軍に遭遇し、
敢闘するも最後は降伏した話は前回書きましたね。
その後の李陵はどうなったでしょう。

これには匈奴と他の中国周辺の騎馬民族との違いが現れています。
李陵を捕虜とした匈奴の単于は、
李陵自身が勇猛果敢で弓馬の術に長け、しかも人品優れた武将である事、
そしてかつて飛将軍と呼ばれた前漢の名将・李広の孫である事を知り、
彼をかなりの厚遇で迎えようとします。
漢に対する忠誠から李陵は当初これを断っていたのですが、
その後、漢の武帝から李陵を返還するよう使者が訪れると事態は一変します。

この使者が武帝に報告したのは 、
『李陵は匈奴の単于に兵法を教え漢に備えている』
といった内容だったのです。
これを聞いた武帝は激怒し、李陵の一族を妻子や母まで含めて皆殺しにさせます。
李家の本籍である隴西の将兵はこれを恥としたというのですが、
事実は違ったのでした。

匈奴に兵法を教えていたのは同じく匈奴の捕虜となっていた李諸と言う者で、
この人物は客分として厚遇され李陵より上座に座るほどでした。
李諸のために一族を殺された李陵はその後この李諸を刺し殺した上で北に逃げ、
行き場がなくなった事もあって最終的に匈奴に仕えることとなります。
李陵の不運を気の毒に思った単于は娘を娶らせ、李陵を右校王として迎えたのでした。



(匈奴の人材登用)
このように、匈奴は優秀な人材と見れば自分達を苦しめた人物でも迎え入れるなど、
人材の確保にはかなり貪欲なものがありました。
例えば西域へ派遣された張騫が捕らえられたまま十数年も勧誘され続けて脱出した話は以前書きましたし、この後には対匈奴の前線司令官とも言うべき李広利将軍も降伏した後に匈奴に仕えるといったことも発生しています。中には李陵と対比される蘇武のように、頑として首を縦に振らずに通した人物もいましたが・・。
とはいえ実際のところ匈奴の陣営には多くの漢人が招かれており、それは自ら進んでであったり、降った後に厚遇を受けたりと様々な形での参加だったのでした。
人材登用に熱心だったというのは匈奴の人口が実数で200万程度と漢の1/30程度だったこと、それから優れた行政組織や法制度・軍の運用などで漢から導入するものは多かったことを物語っているでしょう。

ところで、匈奴は紀元前200年代に勃興して冒頓単于の時代に隆盛を迎えてから、後に南北に分裂して北匈奴は西に去り南は漢(後漢)に従属するようになる紀元50年代以降まで、およそ260年以上も北方の草原地帯で最大の勢力であり続けました。
私たちは後にモンゴル帝国という世界史上でも最大規模の版図を築いた例を知っていますからそれほど特別な事とは思わないのでしょうが、これだけの長期間を隣接する地に超大国が存在する状態で維持し続けたのは結構特殊な方に位置する事と思います。
通常は遊牧民に英傑が現れると一気に興隆し大勢力を築くというのは歴史上まま見られますが、一方でその人物が亡くなるとその次の代でもう瓦解に向かうというのは良くある話ですから。

これが匈奴の場合は冒頓単于が登場したあと100数十年も漢と互角に戦い続けており、
漢に敗れた後も一定以上の勢力を保っていたのは偶然ではない気がします。
そういう点では匈奴の中に相当数の漢人が入り、元からの匈奴の風習の上に行政組織や法規の整備、軍の体制などで影響を及ぼしたというのは原因として充分考えられることなのかも知れません。
とは言えこれあくまでも私の推論ですし、実際のところ匈奴が独自の言語や文字・法体系があったかは未だに分かっていません。言語一つ取っても、匈奴語が古代テュルク語系に属するのか古いモンゴル語なのかすら分かってませんから。最近の研究結果や学生のレポートなどを見ると、言語についてはテュルク系が有力なもののモンゴル系の単語に近い発音も史記や漢書に見られると言いますし、風習・文化的には後期スキタイ文化がその根底で影響してそうだというのは言えてもそれがまだ定説とまではなっていません。
ただまあ、東部では漢人が、西では西域諸国の諸部族が多く匈奴の陣営に参加していたのは間違いなさそうですから、それぞれの地域の文字・言語が自然と使われていたのでは?とは考えられる所です。これが単于の幕舎周辺だと、もう様々な言語が飛び交うカオスというか国際色豊かな場所となっていたかも知れませんね。

さて次回以降は、
だんだん匈奴編の次に入って行きたいと思っているので、
(匈奴編だけで既に10回超えてるし・・・) 
時間軸での経過を追ってみます。


おしまい。

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  1. 2008/08/07(木) 23:41:47|
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