打倒ローマは一日にして成らず

大航海時代Onlineでカルタゴ復興に燃える元将軍の記録。

草原の興亡 その30

カタラウヌムの戦い 後編


半年くらい掛かったこのシリーズも、あと2回でようやく前半のひと区切りになりそうです。
では前回の続きからどうぞ。

(分岐点)
戦闘開始から数時間が経ったころ、ローマ軍司令官アエティウスが動きます。
最初に中央の丘を占拠したままここを守備していた西ゴートのトリスモンド王子率いる騎兵隊に、フン族右翼の側面を突くよう命令を下したのでした。
更にこれと同時に、既に押され気味だったフン族側の左翼にいた東ゴート軍がほぼ崩壊してしまいます。これに驚いたフン族連合軍の右翼に配されていたブルグンド族・ゲピート族などの混成部隊も動揺・後退した事でフン族側は更に大きな損害を出します。これにより、左からローマ騎兵と西ゴート騎兵・そしてフランク族が、右からは西ゴート軍がそれぞれフン族連合軍の中央を包囲しかかる形となり、一気にローマ軍優位の状況となったのでした。

カタラウヌム経過図04

しかし、フン族にはまだ中央の後方にアッティラ率いる本隊が残っていました。両翼から包囲に掛かるアエティウスと西ゴート軍の攻撃を迎え撃ち、乱戦の中で逆にアエティウスの退路を断つように逆包囲を行います。危機に陥ったアエティウスは戦場を横断して西ゴートの陣営に逃げ込むのがやっとといった具合で、結局この日の戦いは決着がつかず、アッティラは夜になってなんとか後方の陣地へ引き上げ、決死の思いでローマ軍の追撃に備えたのでした。


(ワゴン陣地)
ここで、このフン族の陣地についても一言。
彼らは遊牧民ですから、ローマ軍のように堅固な宿営地を作ったりしません。
その代わりに普段荷物を積んだり子供など家族を乗せているワゴン(馬車の一種)を陣地の周りに円形に配置して即席の囲いとし、敵が攻めてきた場合はそこから弓で反撃するようにしていました。このワゴン陣地(ワゴン円陣)は西ゴート軍なども使用していますから騎馬遊牧民の間では既に広まっていたのでしょう。中でも弓術に優れたフン族がここに篭って防備に備えたらちょっと破るのは困難だったと思われます。

実際、後世これの発展型と思える戦術が近世東ヨーロッパを席巻します。
15世紀にボヘミアで起こったフス戦争では、フス派のヤン・ジシュカが編み出した 『鉄板で装甲され銃眼の付いた馬車を並べて、銃眼からマスケット銃で狙撃する』 という新兵器を組み合わせた戦術により、ヨーロッパ中を敵に回しながら当時最強とすら見られている強さを発揮しています。騎兵による突撃ではフス派の民衆軍によるこの『火器+車両陣地』を突破できなかったあたり、日本の長篠の合戦にやや似ていて興味深い所ですね。(日本の場合は火器の集中運用という点でもう一段進化した戦術に思えますが)

カタラウヌム経過図05

カタラウヌムの話に戻りますね。
このワゴン円陣を前にしては、勢いに乗るアエティウス率いるローマ連合軍の攻撃も分が悪く、戦死した父の敵を取ろうとした西ゴートのトリスモンド王子の突撃も跳ね返されてしまいます。(アエティウスが引き止めたともいわれますが詳細は不明)
夜が明け、アッティラは自軍の損害が余りに大きい事に嫌気して戦闘の継続を断念します。ローマ側の一部にはまだ戦闘意欲がありましたがこちらも損害が大きく、ここでアエティウスはアッティラに使者を送って『ガリアから引き上げるなら戦闘を停止する』と伝えます。アッティラはその後ライン川の東へ軍を引き、こうしてカタラウヌムの戦いは両者痛み分けに終わったのでした。
後世この戦いはローマ側の勝利と一般に言われますが、確かにアエティウスはガリア防衛には成功したものの、やればかなりの成果が出たと予想される追撃戦を行ってない事から、このときはローマ側にもフン族と同じく甚大な損害が出ていたと思われます。まあ、この時同盟関係をとった西ゴートがこの先どうなるか微妙ですから、アエティウスが敢えてフン族戦力の温存を図ったという見方もありますね。

ところで、この結果を 『ローマ人の物語』 を書いた塩野氏は最終15巻の作中で、

『あれほど恐れられていたフン族も、戦闘らしい戦闘をしたとたんに敗れたのである。蛮族とは、防衛も充分でない民間人を襲う場合だけ強かったのか、とさえ思ってしまう。そしてこの会戦も、もしもアエティウスさえその気になっていたならば、「神の鞭」アッティラもシャンパーニュの野の露と消えていたのである。 ~~中略~~ これで無事にライン川を渡って、ゲルマニアに戻れたのである。アエティウスが、救ってやったようなものであった』

と記していますね。
逆の立場から書いてる者からすると、この一方的な記述はどうなんだとw
まあローマ好きな人にとってはローマ人15巻は楽しめる所少ないからなあ・・・。

さて、脱線しかかりましたが次回はカタラウヌム以後のヨーロッパ情勢などを。
実はまだアッティラはローマ領内への野心を捨てていませんでした。


おしまい。


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  1. 2008/10/05(日) 18:02:11|
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