打倒ローマは一日にして成らず

大航海時代Onlineでカルタゴ復興に燃える元将軍の記録。

エル・シド その4

二人の主君

レコンキスタの連作クエで登場してきた実在の英雄エル・シドの半生を追うシリーズの4回目。
順調に成長してきた序盤も今回までとなります。

最初の主君サンチョ2世を暗殺によって失ったロドリーゴ・ディーアス。(後のエル・シド)
その先の事を書き始める前に、サンチョ時代の彼の最終的な肩書きについて見ておきます。前回記述していませんでしたが、サンチョと彼の結びつきの強さを確認すると言うのはその先の展開を見るうえでも伏線になってきますので。


(カンペアドール)
まず公的な物としては、国王直属の旗持ち騎士として。
当時 『アルミゲル』 または 『アルフェレス』 と呼ばれたこの地位は、単に王の近習筆頭としてだけでなく、現代的な表現だと幕僚・副官・親衛隊長、更に物資装備担当官を兼務した者、となりましょうか。めちゃくちゃ重要な職務です。しかも王の近習ですから普通の貴族の近習としての役割だけでなく、戦場では国王軍の中核部隊の指揮監督をすることになります。
更にこれに付随したものとして、
エル・シドのもう一つの通称にもなった 『カンペアドール』(Campeador)という肩書きも得ています。もともと古代ローマの軍団の頃からあったこの肩書きは軍の教官・師範というべき地位を表しており、この名で呼ばれていること自体が武芸だけでなくある程度の教養を持っている人物だった事の証明ともいえます。またこの肩書きは後に作られる 『カンペアドールの歌』 という詩により、エル・シド・カンペアドールとしてロドリーゴ・ディーアスその人を直接指す言葉として認識されてくることになります。

こんな感じで、1072年に主君でカスティーリャ国王のサンチョ2世が暗殺される時点での
エル・シドの地位は、貴族としての格はともかく、軍人としては既に相当に高かった事が伺えます。このままサンチョ2世の治世が続いていれば、恐らくロドリーゴは優秀な軍人としてレコンキスタを進めるカスティーリャ王軍の重鎮としての一生を全うし、別の意味で歴史に登場してきたかも知れません。しかしロドリーゴが獲得したこれらの地位や肩書きは、その主君の死によって幻と消えてしまうのです。



(暗殺)
ロドリーゴの主君サンチョ2世の死に関しては、当時とそのすぐ後の時代から、その真犯人も含めて相当に色々な説が立っています。ただ、その死が裏切りによる謀殺だったという見解では同じで、それだけに同時代から人々の憶測を呼んだのでしょう。
状況としては、1072年10月7日にサンチョ2世はレオン地方にあるサモーラの町に出陣しており、遠征中に郊外で暗殺されたとされています。そしてその死の後、弟であるアルフォンソが亡命先から帰国してカスティーリャ=レオン王アルフォンソ6世として即位したのですね。
で、サモーラの町は妹ウラカの領地で、最も利益を得たのがアルフォンソであることから、アルフォンソとウラカの共謀だったという説が支配的となっています。研究者の中にはその出陣は兄弟間の継承戦争というだけでなくイベリア半島南部のターイファ諸国が侵入してきたからと見ており、中でも当時継承戦争に敗れた弟アルフォンソ6世が亡命していたトレードの関与は充分ありうることと見ているようです。

いずれにしても、サンチョの死とそれに続くアルフォンソの即位は、再統一されたカスティーリャ=レオン王国の爆弾となります。事実はともかく、状況としてサンチョの家臣だったカスティーリャ人はアルフォンソの関与を相当に疑っていました。13世紀に書かれた資料には、 『ロドリーゴ(エル・シド)が、即位したアルフォンソ6世に対し兄の死に自分は関与していない事を宣誓するよう強要した』 という記述すら残っており、それによってアルフォンソはロドリーゴを密かに深く恨むようになり、後の追放劇の伏線となった、というのですね。その逸話が近代の歴史家にすら事実として支持されたというあたり、それが当時からの代表的な意見だった傍証でしょう。現在ではその逸話の信憑性自体は疑われていますが、英雄が追放されるからには主君側に理由があるはずだ、というのは、心情的には理解されやすい気がします。

そんなこともあって、即位し一応はカスティーリャ人に忠誠を誓わせる事ができたアルフォンソ6世は、カスティーリャとレオンの融和を図るべくサンチョ系家臣のある重要人物を取り込む政策を取ります。ある人物、それは他でもないロドリーゴ・ディーアス当人でした。



(結婚)
アルフォンソ6世が即位して2年ほど経つ1074年ごろになると、既に20代後半になっていたロゴリーゴの元にある娘との結婚話が持ち上がります。その相手の名は、オビエド伯ディエゴの令嬢でヒメーナといいました。これが、後に夫エル・シドの死後もバレンシア防衛を先頭に立って戦う事になるドーニャ・ヒメーナその人ですね。

オビエドはレオン王国がかつてアストゥリアス王国と呼ばれていた時代の元々の首都だったところであり、初期レコンキスタの根拠地だった重要な場所です。ともかくそのオビエドの伯であるディエゴはこの土地の有力貴族であり、アルフォンソ6世がレオン王国の名家とカスティーリャ王国の有力な軍人を輩出してきたビダール家の跡取りを結びつける事で両王国の対立を緩和する事を図ろうとした意図が働いていた事が伺えます。
このヒメーナ嬢とロドリーゴの結婚、家門からいえば妻のほうが遙かに高い出身だったかもしれませんが、一方のロドリーゴ・ディーアスもカスティーリャでその名を知られ始めていた将来有望な軍人でしたから、恐らく両家に不満はなかったでしょう。
しかもこの両者の結婚に際して発生した土地贈与の証書へ署名を行った人物の中に、国王アルフォンソ6世と妹2人、更にアルフォンソ6世のアルミゲルになっていたガルシア・オルドニュスなど、当時のカスティーリャ=レオン王国の主要人物が名を連ねており、ロドリーゴの結婚はカスティーリャ=レオン王国で相当に期待された人物、もしくは政治的に重要な人物の結婚だったことが伺えます。


さて、ここまで見てきた限りでは、最初の主君サンチョ2世を失ったもののロドリーゴの将来はまだまだ明るかった事が分かります。残念ながら非主流派に回った事でアルミゲルやカンペアドールといった肩書きは失いましたが、優秀な軍人と言う評価は変わらなかったでしょうし、新たに主君となった国王自らが斡旋した結婚を通じてレオン王国の人々にもその名は浸透していった事でしょう。しかし、同時に彼を敵とする者も生まれていました。
その人々の思惑によって、またロドリーゴ自身の行いによって、彼の人生は大きく狂い始めたのでした。




おしまい。

FC2ランキング02
 
↑ぽちっと。

テーマ:大航海時代Online - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2009/03/08(日) 15:43:26|
  2. エル・シド
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<エル・シド その5 | ホーム | 長期計画のあれは・・・>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://hamilcar.blog64.fc2.com/tb.php/757-76ac5bac
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

このブログはリンクフリーです。

ハミルカル・バルカ/メルカルト

Author:ハミルカル・バルカ/メルカルト
サーバー:Eos
所属  :イスパ
商会  :たまごのしろ/世界の船窓から
Twitter :hamilcar_notos

FC2カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
オンラインゲーム
372位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
大航海時代オンライン
13位
アクセスランキングを見る>>

最近の記事

カテゴリー

最近のコメント

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

最近のトラックバック

ブログ内検索

RSSフィード

RSSリンクの表示

著作権について

大航海時代 Online』に関わる著作権、その他一切の知的財産権は、 株式会社コーエーテクモゲームスに帰属します。 このホームページに掲載している『大航海時代 Online』の画像は、 『大航海時代 Online』公式サイトにおいて使用許諾が明示されているもの、もしくは『大航海時代 Online』の有効なアカウントを所有しているユーザーが株式会社コーエーテクモゲームスから使用許諾を受けたものです。